S I A P O




アーサー・コレクション

S I A P O  シアポ
 Bark Cloth Art of Samoa

斬新で繊細なうずもれていたアート


南太平洋地区では、昔から、繊維の代わりにコウゾの木の皮から作った布のような物を 衣類として利用していました。主に身体に巻き付けて、身を覆う為のものでした。 そのうちにこの布に天然の樹汁や樹の実から採取した色素を使い柄を描くようになりました。 これらを南太平洋地区では「タパ」(TAPA)と総称していますが、サモアでは「シアポ」 (サモアの樹皮美術)と独特の名で呼んでおり、他の地域のものとは区別しています。 「シアポ」の絵柄は古くから、樹の枝や尖った木の実の先端をつぶして、筆先のように使用し描かれます。 染料は無毒の天然の樹液や木の実から絞り、決して水で薄めたり、煮るような事はしません。 このために、その色相は、黄色・茶色・黒系の色で占められています。 絵柄の描き方には、いくつかの方法があり、古くから行われている代表的な方法は 椰子の繊維で編んだ紐を網の目状の絵柄に織りそれに染料を染料を染み込ませて 用意した布地に上から重ねて絵柄を写し込むというやり方ですが、最近はあまり行われていないようです。 現在は、サモアを含めて、他の地域の「タパ」で最も多くとられている描き方は、版画が使用されています。 堅い木に、絵柄を刻み込み、染料を乗せ、布をあてがう方法です。 サモアの「シアポ」独自の繊細で近代的な絵柄の原型は、1920年ごろに出来たようです。 その後、ヴァイトキ村(ツツイラ島)のブリッチャード家の三代にわたる女性たちを中心に引き継がれ 新しいデザインが生まれてまいりました。 デザインの基本は、サモアで身近に見ることが出来る自然のバンダナスの花、貝や鳥の羽をモチーフにして 組み合わせたもので、その線の一本一本は全てフリーハンドで描かれ、出来上がった作品には、 古くから島に伝わる伝説なども含まれているそうです。 二代目にあたる、メアリー・プリッチャードさんは10年程前に亡くなりましたが、 彼女が起居をしていた家には、今も”アーサー・コレクション”として、多くの彼女たちの作品が展示されています。 しかし、雨漏りなどで作品に水がかかり、かなり痛んでいる現況も見逃せません。 ひっそりとしたサモアで発達した「シアポ美術」をしっかり保存し 後世に伝える為には多くの行動が必要です。

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